Case 6
使い込んだ質感・モダンな光で商品映える店舗に
和柄をモチーフとした刺繍ブランドの店舗施工。既存の日本家屋のつくりを生かしつつ、商品の色鮮やかさ、グラフィカルな表情を、綺麗に見せつつ展示する空間が求められた。
既存空間の天井仕上は煩雑で、壁設置の空調機なども目立っていた。
光の質・照度・器具コストのバランスから、LEDスポットライトと 高照度の蛍光灯を併用するレイアウトとした。壁を照らす蛍光灯は、 現場で器具を使って光の印象を確認し(写真左)、位置を決定した。
壁面は質感のある白色の左官壁で統一し、 煩雑な印象だった柱・天井等は濃茶色で塗装。 空間の印象はすっきりとし、商品が映える背景となった。
壁際の蛍光灯は、光源が直接目に入らないよう、 天井近くにボックスを作り納めている。 ボックスのつくる水平ラインは、空間にシャープさと統一感を与えている。
既存空間の天井は煩雑な印象。 階段の踏み板が、必要以上に店舗側に突出していた。
壁面は質感のある白色の左官壁で、柱・天井等は濃茶色で塗装、 空間の印象を整え商品が映える背景に。階段の踏み板は、 適当な幅を残してカット、より広く利用できるようにした。
レジカウンターは既存品を、メラミン化粧板(赤)貼りと塗装(濃茶色)で仕上げて転用。壁面を照らす照明によって、壁面設置の商品も良く演出されている。
展示棚・店内中央の展示台とも、施主によるデザインで 制作したスチール脚と既存棚板とを組み合わたものである。 催事でも利用できるよう、可動・分解できるものとした。
足元のレンガは店舗のコンセプトにマッチしておらず、 モルタル塗も堅い印象だった。
レンガは撤去し、モルタル塗り部分は壁とほぼ同色の木格子で目隠しした。 可動庇・換気扇フードは撤去、フード跡にはガラスを嵌め 小さなショーウィンドウとした。
八坂の塔を望む通りに、店舗を程よく馴染ませること、 決して大きくないショーウィンドウから、 店内を効果的に訴求することもテーマであった。
暖簾、木格子、ショーウィンドウのディスプレイは、 通りの風景と馴染みながらも、通行人の目に留るものとなっている。
店内壁面全体を明るくすることより、陽のある時間でも 通りから店内を認知できるよう意図している。
人力車が通る風景とも、馴染むファサード。
LEDと高照度の蛍光灯による店舗1階の照明は、 この刺繍ブランドの商品の個性を忠実に演出し その溌剌とした光は、店舗の存在感を程よく主張している。